『クラスの「浮いたヤツ」にならないよう、
僕は今日も嘘をつく。
「死ね、死ね、死ね、」と心の中で叫びながら…』
「東京は臭い。」と同級生にウソをついたことがきっかけで、一人で東京に行くはめになった高校生の和也(佐野岳)。帰りの飛行機に乗り遅れて途方に暮れている所を、空港の売店員の昌美(杉田かおる)に声をかけられ、彼女の部屋に泊めてもらう。しかし「泊めてやってるのに気が利かない」と文句を言われ、部屋の片付けをさせられるなど散々な目に。終いには酔いつぶれた昌美を介抱するうち、静岡に住む別れた夫・秋山(塚本晋也)へのお使いを頼まれる。秋山を訪ねた和也は、そこで昌美と秋山の心の傷を知る。別れ際、秋山は和也に言うのだった。
「また、必ず会おう」
熊本へと帰る道中、和也はデコトラ運転手・柳下(イッセー尾形)に出会う。下手な嘘ばかりつく和也を柳下が一喝する。「お前のウソには迫力がねえ。ウソの中に生きる覚悟がねえんならウソなんかつくな」。時に説教臭い柳下に、和也は少しずつ自分の事を語り始める…。柳下のデコトラが闇夜に輝き、いつのまにか笑顔になっている和也。しかし、その柳下にも人には語らない一人旅の理由があった…。
自分を守るための些細なウソから始まった17歳の一人旅で、和也は自分と向き合い、成長を遂げていく。